-平成28年12月1日(木)- 落ち鮎漁

毎年12月1日、四万十川では落ち鮎漁が解禁される。


鮎は川の水温が下がるこの時期に四万十川の上流域から流下し産卵を終えると1年限りの命を全うする。

 川漁師たちは、この産卵前後の鮎を投げ網や掛け釣りなどの漁法で漁をする。

 時に30センチを超える大物も掛かる。

 しかし、この落ち鮎が東京や大阪に出回ることはない。

 四万十流域で消費されるのみだ。四万十ではこの落ち鮎を塩煮にして戴く。その味は何とも云えず美味だそうだ。残念ながらまだ食していないが・・・。

 

 鮎は年魚とも呼ばれる。先にも記したように1年限りの命。幼稚魚の季節を河口域で暮らし、やがて川を遡上する。

 その限りある命を鮎たちは四万十川の豊かな自然環境で育ち、やがて次の世代へその命を繋いでゆく。

 まさにこの落ち鮎の季節は、鮎たちの「いのちの仕舞い」の時なのだ。

 

 四万十流域の人々は、稚鮎、若鮎、落ち鮎と季節に応じた自然の恵み、自然の中のいのちを戴いて生活をしている事になる。

 なんと贅沢なことであるか?都会の暮らしでは味わうことの出来ない季節感を四万十では鮎一つをとっても、存分に味わうことが出来る。暑さ寒さぐらいでしか季節を感じる事が出来ない都会暮らしの身にとっては、なんとも羨ましい限りである。

 

 鮎たちの「いのち」が自然の営みによるものであることと同様に、本来、人の「いのち」もまた自然の営みによるものである。

 この自然を身体いっぱいに感じて生きることが本当の人の営みであり、その暮らしの中にこそ「本当の豊かさ」や「本当の幸せ」を探るヒントがあるように思える。

 

(溝渕雅幸)